専有単価とは?基本からプロだけが読み解く意味まで解説!

不動産価値の算定においては、様々な指標を用いて価格を決定します。

中でも不動産業者が売買において一番に注目するのは、"利回りと専有単価"と言っても過言ではありません。

本記事では、不動産売買において基本的な概念である"専有単価"について解説し、後半ではプロだけが知る意味や応用手法も公開します。

専有単価とは

専有単価とは、不動産価格を比較する指標の一つで、価格÷専有面積(坪)で計算される単価です。

実務上は、面積は平米よりも坪で計算する場合がほとんどであるため、専有坪単価という呼称もあります。

この単価を用いれば、同じ面積に対する価格が高いのか安いのかを異なる不動産同士で比較することができます。

なおここで用いられる専有面積とは、テナントが実際に専有使用できる面積、すなわちオーナーから見れば収益が発生する面積のことであり、エントランスや廊下、バルコニーなどの共用部は含まれません。

実際に専有単価を計算してみましょう

以下、不動産査定実務の流れに沿って、架空の物件を用いながら実際に専有単価の計算を行います。

なお、後述しますが専有単価の計算方法は、区分マンションでも一棟収益物件でもほとんど変わりません。

ケース1: 架空の都内ワンルームマンション(区分)

  • 物件名:REレジデンス桜台Ⅱ
  • 所在地:東京都練馬区桜台
  • 価格:2,980万円
  • 間取り:1R
  • 専有面積:25.12㎡
  • 築年数:築12年
  • 構造:RC造 8階建(3階部分)

1. 不動産の価格と専有面積を確認する

まずは物件概要から専有単価の計算に必要な価格と専有面積を抽出します。

価格2,980万円

専有面積25.12㎡

2. ㎡を坪に換算する

上述のとおり、専有単価の計算で用いられる面積単位はです。

そのため、続いて㎡を坪に換算する作業が必要です。

これは暗記が必要な項目ですが、「1㎡=0.3025坪」です。

坪を計算する場合は㎡×0.3025をしましょう。

専有面積25.12㎡×0.3025=7.59坪

※小数第3位以下切り捨て

3. 価格÷専有面積(坪)で専有単価を算出する

専有面積を坪に直したあとは、価格÷専有面積(坪)で専有単価を算出するのみです。

専有単価:2,980万円÷7.59坪=392万円

【REレジデンス桜台Ⅱ】の専有単価は392万円ということがわかりました。

ケース2: 架空の都内レジデンス(1棟)

  • 物件名:プレミアムレジデンス神泉
  • 所在地:東京都渋谷区
  • 価格:11億円
  • 間取り構成:1K〜1LDK
  • 総戸数:28戸
  • 延床面積:814.8㎡
  • 専有面積合計:680.0㎡(レンタブル比:84%)
  • 築年数:築30年
  • 構造:鉄筋コンクリート造(RC)地上5階建

1. 不動産の価格と専有面積を確認する

手順は区分マンションの時と変わりありません。

まずは物件概要から価格と専有面積合計を抽出します。

ここで使用する専有面積合計は各戸の面積の合計のことで、延床面積は計算には使用しません。

1棟収益不動産の場合、延床面積は廊下やエントランスなどを含む総面積として記載されています。

価格11億円

専有面積合計680.0㎡

なお、専有面積合計÷延床面積でレンタブル比を計算できます。

さほど重要な指標ではありませんが「建物全体として共用部を除いた"テナントに貸せる面積"がどれぐらいあるのか」を把握するのに役立ちます。

2. ㎡を坪に換算する

ケース1と同様に㎡を坪に換算します。

「1㎡=0.3025坪」でしたので、

専有面積680.0㎡×0.3025=205.7坪

3. 価格÷専有面積(坪)で専有単価を算出する

あとは、価格÷専有面積(坪)で専有単価を算出するのみです。

専有単価:11億円÷205.7坪=534万円

【プレミアムレジデンス神泉】の専有単価は534万円ということがわかりました。

2つのケースで専有単価を比較

では、実際の計算例を見てみましょう。

【REレジデンス桜台Ⅱ】専有単価:392万円

【プレミアムレジデンス神泉】専有単価:534万円

専有単価を計算することで、区分マンション同士での比較はもちろん、区分マンションと一棟マンションでも同じように比較することができるようになります。

専有単価の差から何がわかる?

「なぜ専有単価に差があるのか?」「この差は何を意味しているのか?」について、業者目線で解説していきます。

【応用編】不動産業者(プロ)が専有単価から見抜くこと


専有単価の活用法は、単純に専有単価が相場よりも高い、安いといった比較だけではありません。

実は、専有単価はそれ自身がメッセージを発しており、不動産業者はここに注目することで売買の判断材料にしています。

"専有単価が安い"が意味しているものは?

専有単価の計算方法は価格÷専有面積(坪)で計算される単価でしたが、ではそもそもこの"価格"はどのように決定されているのでしょうか?

収益不動産の価格決定で最も一般的な方法は収益還元法です。

収益還元法とは、ある資産からの収益をもとに資産価値を算定するDCF法の一種で、

不動産の場合は、価格=賃貸収入÷期待利回り(キャップレート)で計算することができます。

もし上記の期待利回りが一定であれば、賃料が高ければ不動産価格は高く、逆に賃料が低ければ不動産価格は低くなります。

そして、賃料が価格を決定するということは、面積が一定ならば、賃料の高低が専有単価に反映されていると考えることができます。

価格が安い=収益性が低い?

つまり、専有単価が安いとは、収益還元法の元となる収益=賃料が相場と比較して安い可能性を示唆する場合があるのです。

この考え方を用いれば、地方と都心部での専有単価の差を、賃料の差から説明するという視点も生まれます。

※実際には地方と都心部では期待利回りが異なるため、価格決定要因は賃料差だけではありません。

実際に不動産ファンドやREITなどは、専有単価が割安であることから、潜在的な賃料の上げ幅(レントギャップ)があることを読み取って、売買の判断材料とすることが多々あります。

簡単に言えば、「現況利回りは低いけど専有単価でみると割安感がある=賃料ギャップがある」という思考法です。

専有単価が高い時に考えられること

逆に専有単価が相場と比較して割高な場合には、現況賃料が周辺と比べて割高である可能性が考えられます。

新築物件、また昨今では民泊、サービスアパートメントとして運用することで通常賃貸よりも割高な賃料設定がされている可能性があります。

「なんとなく魅力的な利回りに見えるけど、専有単価が高い」

そんな場合は、通常賃貸での収益性=物件の実力値を冷静に判断し、現在の高利回りを割り引いて考える必要があるでしょう。

利回りを無視!?専有単価をベースに転売するケースも

不動産市場においては、こうした専有単価の差を活かした売買も広く見受けられます。

例えば、相場が専有単価500万円の地域で、専有単価400万円で不動産を取得することができた場合を考えます。

この場合、理論上は差額である専有単価100万円分を高値で売却できる見込みがあると言えます。

もちろん、専有単価の差が上述で解説したように賃料単価の差=賃料の割安感やアップサイドから生じている可能性は言うまでもありません。

まとめ

本記事では、不動産査定において最も基本的な専有単価について、その基礎から応用までを解説しました。

単純に異なる不動産同士の価格を比較するだけでなく、専有単価から"隠されたメッセージ"を読み解くことができるのです。

専有単価から賃料ギャップを読み取り、利回り以外の軸から不動産価値を見抜くのが不動産業者の目利きと言えるでしょう。

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