不動産のキャップレート(期待利回り)とは?なぜ低いほど価格は高くなるのか

本記事では「キャップレートとは何か」「なぜ低いほど価格は高くなるのか」について、不動産事業者・プロ目線でイメージがしやすいように解説します。

キャップレート(期待利回り)とは

キャップレート(期待利回り)とは、収益不動産の価格決定において、投資家がある不動産に求める利回りです。

単位としては%が用いられ、◯%のように表記することが一般的です。

不動産価格を計算する「収益還元法」の主役

キャップレート(期待利回り)の概念は、不動産価格を計算する際の重要要素です。

収益不動産の価格決定法である収益還元法による計算式は、簡略化すると下記の通りです。

"価格=年間収入÷キャップレート(期待利回り)"

上記式からも分かるとおり、割る数(除数)であるキャップレートが低いほど、価格は高くなるのです。

直感的に分かる!キャップレートが低いと価格は高くなる理由

とはいえ、「キャップレートの定義と計算式だけではイメージが掴めない」という方も多いと思います。

ここで、”投資家がある不動産に求める利回り”という言い回しから、なぜ期待利回りが低いほど価格は高いのかを考えてみます。

実は、期待利回りが低いと価格が高くなる現象を簡単に言うならば、

①「六本木の新築物件なら利回りが2%しかなくても欲しい」という投資家心理

②「みんなが欲しい優良物件に対して4%の利回りが欲しいなんて言っていたら買えない=売ってもらえない」という市場原理

によって表現することができます。

もしあなたが投資家の立場だとして、「地方の今にも崩れそうな木造築古アパートと、都心の新築オフィスに求める利回りは同じか?」と考えてみれば、直感的に利回りと価格の関係を理解できるかもしれません。

ここにはリスク・リターン的な関係も見てとることができます。

つまり、大雑把に言えば、キャップレートはある種の人気投票のような性質を持っているのです。

キャップレートの決定要因

キャプレートが「高いのか低いのか」はあくまで相対的であるものの、一般的にいって次のような傾向を持ちます。

高くなる要因:地方、駅から遠い、築古、セットアップオフィス、遵法性違反、金利上昇

低くなる要因:都心・駅近などの好立地、築浅、希少性、土地面積が大きい/土地評価が高い、節税効果が大きい、金利下降

不動産という高額商品といえど、ここでも需給の法則が見て取れます。

それでも物件個別のキャップレートが曖昧になる理由

キャップレートの高低について一般的な傾向がある反面、個別の不動産におけるキャップレートの特定は容易ではありません。

実際のキャップレートはかなり流動的であり、物件の個別性に大きく左右されます。

そのため、「A地域だからキャップレートは○%程度で、B地域は△%」のような目安はあっても、地域によって一律で決められることはありません。

不動産売買の現場では、周辺物件の直近の成約実績、築年や物件仕様、専有単価とのバランス、はたまた担当者の感覚(!)といった様々な要素を総合して物件のキャップレートを決定していくのです。

投資家が求める利回りはそれぞれであることから、必ずしもロジカルに「この物件なら何%」と特定できないことが、キャップレートを用いた不動産査定の難しさでもあります。

利回りは高ければ高いほどいいのか?プロはどう考えるか

不動産投資において「利回りは高ければ高いほどいい」と考える方も多いかもしれません。

しかし、実務上は相場と比較してあまりに"魅力的な"利回りである場合、「物件に何か訳ありの事情があるのではないか?」と疑われることもしばしばあります。

例えば、長期間売れ残っている、建物が違法増築されている、物件近隣に暴力団事務所などの嫌悪施設がある、入居者属性が悪いなどの要因が想定されます。

裏を返せば、"相場よりも魅力的な利回りでないと売れない=誰も買いたいと思わない物件"と評価されている可能性もあるということです。

売り手としては、「不動産の収入を高めたうえで、できるだけ低い利回りで売却すること」が最も経済合理的な戦略となります。

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それにもかかわらず意図的に相場より高い利回りで売り出されている場合、通常の利回り水準では投資家の期待利回りに届いていない事情が背景にあると考えるのが自然です。

もっとも、高利回りのすべてが先述のようなネガティブ要因によるものとは限らず、

「相場よりも高収益化されている一方で、収益の変動性も大きい物件」などについて、売り手・投資家双方がそのリスクを理解したうえで価格決定・取引されているケースも少なくありません。

こうした観点からも、なぜ投資家の"期待利回り"が不動産価格に影響を与えるのかが理解できるのではないでしょうか。

不動産業者以外の人がキャップレートを調べる方法は?

キャップレートは収益不動産の価格決定の大きな要因であるため、「自分の所有物件の相場利回りを知りたい」と思うことは当然といえるでしょう。

実は、不動産業者以外でも地域ごとにキャップレートを調べることが可能です。

capratemapというサイトに会員登録(無料)することで調べることができます。

こちらのサイトは、REITにおける不動産取得時利回りの実績値を各物件ごとに地図上にプロットしたサイトです。

まとめ

本記事では、キャップレートの基本的な定義から、不動産価格との関係、実務における考え方までを解説しました。

キャップレートは単なる「利回り」ではなく、市場の評価やリスク認識が反映された重要な指標です。

これらを理解した上で物件を比較・検討することで、価格の妥当性や投資リスクをより正確に見極めることが可能になるでしょう。

不動産査定に求められるキャップレート×専有単価のバランス感覚

また、不動産査定においてプロ目線に近づくためには、キャップレートと専有単価のバランス感覚を持つことが大切です。

どちらか一方の指標だけを判断材料とするのではなく、両者を総合して不動産価値の高低を見抜く必要があります。

専有単価についての詳細は以下の記事で解説しています。

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