利回りから賃料坪単価を逆算する方法|アップサイドと投資判断
本記事では基礎的な賃料坪単価の計算だけでなく、
利回りから賃料坪単価を逆算することで収益改善性を予測し、実際の投資判断に活用する方法まで解説します。
Contents
賃料坪単価とは
賃料坪単価とは、ある部屋の専有面積1坪あたり、賃料がいくらであるかを示す指標です。
賃料坪単価を用いれば、異なる住戸同士の賃料を比較できるだけでなく、相場からの乖離の程度や収益の改善余地について知ることができます。
なお、投資判断の実務上では、㎡単価よりも坪単価を用いることが一般的です。
賃料坪単価の計算
下記の計算式で算出できます。
賃料坪単価=月額賃料(賃料+共益費)÷専有面積(坪)
特にこだわりがなければ、賃料と共益費を合算したものを実質賃料と考えて問題ありません。
賃料坪単価から賃料を逆算
また、賃料坪単価を用いれば、月額賃料を逆算できます。
賃料坪単価×専有面積(坪)=月額賃料
こちらの方法は、主に現況賃料が相場賃料と乖離がある場合に、
賃料坪単価の改善によってどれだけの収益向上が見込めるかを判断する際に用います。
投資判断における具体的な活用の仕方は後述します。
利回りから賃料坪単価を逆算する方法

さて、ここからは実務でよく使われる応用方法として、利回りから賃料坪単価を逆算する方法をご紹介します。
利回りから現在の賃料を逆算することによって、「今の賃料が安いのか高いのか」についての目安が得られます。
先に計算式を提示すると下記の3ステップになります。
①不動産価格×表面利回り=年額賃料
②年額賃料÷12ヶ月=月額賃料
③賃料坪単価=月額賃料(賃料+共益費)÷専有面積(坪)
なお、住宅賃料は非課税であるため、不動産価格や利回りも税別ベースで考えると誤差が少なくなります。
実務でそのまま使える計算例
では、架空の不動産を用いて、実務でもそのまま応用できる計算例を見てみましょう。
【リレイユ桜新町Ⅱ】
不動産価格10億円(税別)、表面利回り4.8%、専有面積250坪 ※住戸25戸
①10億円×4.8%=48,000,000円
②4,800万円÷12ヶ月=4,000,000円
③400万円÷250坪=16,000円
この場合、本件の賃料坪単価は16,000円であることを利回りから知ることができました。
なお、本件は25戸からなる1棟の不動産を想定しているため、厳密には上記賃料坪単価は建物全体の平均となります。
賃料坪単価を用いて利回りの改善余地を予測する

反対に、現在の賃料坪単価を知ることができれば、それを相場と比較することで収益の改善性を予測することが可能です。
端的にいえば、賃料坪単価の変動が利回りに与えるインパクトを簡単に知ることができます。
ケース:相場の賃料坪単価が現況よりも2000円高い
先の架空の不動産を用いて説明します。
【リレイユ桜新町Ⅱ】
不動産価格10億円(税別)、表面利回り4.8%、専有面積250坪、(平均)賃料坪単価16,000円
相場賃料坪単価:18,000円
①相場の賃料坪単価から年額賃料を逆算する
まずは、収益改善後の利回りを計算するために、相場賃料での年額賃料を計算します。
18,000円×250坪×12ヶ月=54,000,000円
②収益改善後の表面利回りを計算する
表面利回り=54,000,000円÷10億円=5.4%
賃料坪単価が現況から2000円上昇することによって、利回りにして60bps(ベーシスポイント)の改善が見られました。
なお、実際に収益改善が実現するかについては、テナントとの契約形態や入退去の頻度を総合的に判断する必要があることに留意が必要です。
あくまで相場賃料を基準として不動産のポテンシャルを知る指標となります。
続いては、上記の利回り改善が不動産価値にどれだけの影響を与えるのかについて、さらに深掘りしていきます。
利回りの改善が不動産価値に与えたインパクト

さて、上記のケースで賃料坪単価が16,000円から18,000円まで上昇した場合、
表面利回りが4.8%から5.4%まで60bps改善しました。
続いては、この利回り上昇分を売却時の不動産価値上昇分に換算すると、どれだけの価値になるかを見ていきましょう。
+60bpsの価値はいくらになるか
再び先の架空の不動産を用いて、
「利回りを4.8%から5.4%まで改善してから、当初と同じ利回り4.8%で売却する」ケースを想定します。
【リレイユ桜新町Ⅱ】
- 不動産価格10億円(税別)
- 賃料坪単価16,000円→18,000円
- 表面利回り4.8%→5.4%(+60bps)
【実務向け】不動産価値の上昇分を年額賃料の上昇分から直接計算する
先述のとおり、売却時の表面利回りも4.8%と仮定して、不動産価値の上昇分を計算します。
まずは利回りの改善から、それぞれの場合の年額賃料を計算します。
①当初年額賃料=10億円×4.8%=48,000,000円
②改善後年額賃料=10億円×5.4%=54,000,000円
①と②の差額=54,000,000円-48,000,000円=6,000,000円
続いて、①と②の差額を売却時利回りで割り戻すことによって、賃料アップが不動産価値に与えたインパクトを計算します。
不動産価値の上昇分=6,000,000円÷4.8%
=1.25億円
「賃料が600万円上がったから不動産価値の上昇分も600万円」とはならない点が収益還元法の妙味と言えるでしょう。
なお、本件では簡略化のために売却時の利回りを当初と同じに設定していますが、
もし投資期間中に市況が良くなり売却時の期待利回りが低下した場合は、不動産価値の上昇分もより大きくなります。
【簡単】それぞれの不動産価格の差分から考えるパターン
イメージしづらい方は売却時のそれぞれの不動産価格をもとに計算しても同様です。
【売却時表面利回り4.8%】
①収益改善前の不動産価格:10億円
②収益改善後の不動産価格:11.25億円
=54,000,000円÷4.8%
①と②の差額は1.25億円となり、年額賃料の差額を売却時の利回りで割り戻した場合と計算結果は同じになります。
※実際にはキャップレートによって売却価格の想定をしますが、簡略化のために表面利回りを基準に売却価格を想定しています。
キャップレートについては下記記事で詳しく解説しています。
まとめ:賃料坪単価⇄利回りの発想を持とう

本記事では、「賃料坪単価とは何か」という最も基礎的な知識を基点としながら、実際の投資判断に活用するための手法までを解説してきました。
利回りから現在の賃料坪単価を知り相場と比較してみることで、その不動産にどれだけのポテンシャルがあるのかを簡単に知ることができます。
また、賃料の上昇余地を利回りの上昇余地に置き換えてみれば、不動産価値がどれだけ上がるかの予測も可能です。
賃料と利回りの密接な関係を意識することで、あなたの投資判断の精度はより高まっていくことでしょう。
