収益不動産価格の超概算|住所のみで査定する方法
※かなり実務寄り・上級者向けの内容となります。
不動産を売りたい・買いたい時に、不動産価格がいくらかわからないことはよくあることです。
中でも、必要資料が揃っておらず収入も支出もわからない場合には、お手上げになってしまう方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、収益不動産価格は収入と支出が不明でも超概算することが可能です。
ここでは、概要や住所しか分からないようなレベルでも不動産価格を超概算する実務的手法を解説します。
時間をかけずに投資・売却に値する物件か否かに大まかな当たりをつけることが可能です。
Contents
超概算に最低限必要な要素は"住所"だけ

さて、不動産価格の超概算を行うのに必要な要素は住所のみです。
そのほかの要素については、特別なノウハウがなくとも公開情報から把握することが可能です。
本記事では所在地しか分からないという前提で超概算を行なっていきますが、
判明している要素があれば適宜そちらを活用することで、より精緻な試算が可能になります。
Ⅰ. 専有単価から逆算する手法

まず、一つ目は専有単価の相場から逆算する方法です。
不動産価格÷専有面積=専有単価となりますので、
当然ながら専有単価×専有面積=不動産価格となります。
これは非常にオーソドックスな、取引事例比較法の一種といえるでしょう。
①レンタブル比から専有面積を仮定する
ここでは、延床面積しか判明しておらず、専有面積は不明と仮定します。
なお、延床面積については法務局に登録されている建物謄本から誰でも知ることができます。
謄本は一般財団法人民事法務協会による登記情報提供サービスから有料で取得可能です。
あくまで目安とはなりますが、
レンタブル比は85%〜90%と仮定してください。
※もしすでに専有面積が把握できている場合はそちらを用いてください。
②周辺の専有単価相場を調べる
専有面積を算出した後は、周辺相場を調査します。
不動産業者でなくとも、仲介業者へのヒアリングやマンションの売り出し価格、チラシなどから把握することができます。
不動産業者であればレインズの成約実績でおおよその相場を把握することができるでしょう。
また、投資実績のあるエリアでは、築年・アセットタイプなどが似ている物件と比較することも可能です。
③専有単価×専有面積で不動産価格を算出する
物件の専有面積と専有単価の相場が把握できたら、それぞれをかけ合わせて不動産価格を算出します。
架空の都心一棟レジデンス:RE池尻ガーデン
専有面積:661.16㎡(200坪)
専有単価(相場):500万円/坪
計算例
不動産価格=200坪×500万円
=1,000,000,000円
しかしながら、不動産価格はもちろん専有単価も相場や実績値から一律で決定できるものではありません
物件の個別性はいうまでもなく、誰がどんなニーズで投資を想定するか、また不動産市況や取引時期によっても評価は異なってきます。
そのため、実際には「専有単価50万円単位で価格がいくら変わるのか」という感応度を把握することで、
不動産価格に対するレンジを持つことができるようになるでしょう。
Ⅱ. 賃料と期待利回りから逆算する手法

二つ目は、収入を賃料相場から仮置きし、期待利回りから収益還元法で価格を出す方法です。
こちらは不動産プレイヤーにとってはオーソドックスな手法と言えます。
①相場賃料を調査・仮定する
収入がわからないことを前提としているため、賃料坪単価を用いて概算します。
まずは物件の平均賃料坪単価を想定します。
物件が特定できる場合は、当該物件の直近の賃貸募集・成約実績を調査することで把握することができます。
今回は20,000円/坪と仮定します。
※もしすでに賃料が把握できている場合はそちらを用いてください。
②専有面積×賃料坪単価で収入を概算する
次に、専有面積と平均賃料坪単価を用いて、収入総額を計算します。
Ⅰの手法と同じ架空の物件を用います。
架空の都心一棟レジデンス:RE池尻ガーデン
専有面積:661.16㎡(200坪)
賃料坪単価:20,000円
月額収入=200坪×20,000円=4,000,000円
年額収入=4,000,000円×12ヶ月
=48,000,000円
③収入÷取得時利回りで不動産価格を算出する
本来であれば支出控除後のNOIを用いて、キャップレートによって不動産価格を算出する方が精緻です。
しかしながら、今回はあくまで支出不明と仮定しているため、収入総額を表す表面利回りから逆算します。
仮にあなたが表面利回り5%で取得したいと想定してみます。
年額収入:48,000,000円
利回り:5%
不動産価格=年額収入÷利回り
=48,000,000円÷5%
=960,000,000円
※経費率は物件により異なりますが、どうしても概算したい場合は10~20%程度を収入総額に対する経費率と仮定し、
収入総額×(1-10%〜20%)をNOIとしてください。
2つの手法を組み合わせて比較する

専有単価と利回りからの逆算を組み合わせることで、不動産価格のレンジを想定することが可能です。
今回は架空の一棟レジデンスを用いて9.6億円〜10億円の回答を得ることができました。
しかしながら、実際には専有単価や賃料の仮定の仕方により、両者の不動産価格は大きく異なります。
これは裏を返せば、どちらかの指標が割安である場合は、その指標におけるアップサイド余地があるということになります。
相場の専有単価をもう少し高く仮定できる、あるいは、賃料単価をもう少し高く設定できる可能性があるということです。
収益不動産における専有単価と賃料の関係については下記記事で詳しく解説しています。
土地評価や積算価格からの概算については、また別記事で解説したいと思います。
まとめ:住所が分かれば価格も調べられる

本記事では、住所のみから不動産価格の超概算を行うアクイジション実務の手法を解説いたしました。
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